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2020年12月12日(土)、新宿バルト9にて『スケートリーディング☆スターズ』先行上映会が行われました。第1〜2話の上映と、キャスト・スタッフによるアフタートークには、前島絢晴役の内田雄馬さん、流石井隼人役の古川慎さん、福島利規監督、谷口悟朗総監督が登壇するということで、作品を期待する多くの方々にお集まりいただきました。

まずは第1〜2話の上映。謎に包まれていたアニメ『スケートリーディング☆スターズ』が初めて披露された後は、バンダイナムコアーツの遠藤直子プロデューサーの司会でアフタートークがスタート。ゲストの4人が登壇しました。

団体のフィギュアスケートである“スケートリーディング”という架空の競技に取り組む、男子高校生たちの青春を描くオリジナルアニメ『スケートリーディング☆スターズ』。この企画について遠藤プロデューサーから、「男子高校生のスポーツものをやりたいと谷口さんに持ちかけました」という説明がありました。谷口さん曰く、「最初はもっとマンガチックにやるという案もあったんです。『リンク上で選手が高速回転をして炎の竜巻が起こる……みたいなのはどうですか』と言ったら、それはやめてくださいと(笑)。写実的な描写も入れたいということで、それを描くには一人だけではキツイ。そこで福島さんを呼びました」と、のっけから谷口さんらしい発言で会場は笑いに包まれます。福島さんも、「谷口作品ということで、僕もそういう(バトル系の)作品なのかと思って入ったら、フィギュアスケートもの。さらに団体競技ということで、これはどうしたものかと思いましたね」と企画当初を振り返ります。

企画当初は1対1の戦いを描くため、シングル競技を想定していたそう。しかし「部活なので団体競技の方が向いているんです。チーム戦なら、高校生の無謀さや後先考えずにやれちゃうところも描けるし」と谷口さんが語ると、「アフレコをしていても、1話からキャラ同士がバチバチしているなと感じましたね。ライバル意識やキャラ同士の対抗心がたくさん出てくるなと思いました」と内田さんも納得の表情でした。

アフレコがスタートする前に、谷口さんは主要キャストを集めて説明会を行いました。そこでどんな説明があったのかというと……。
「『流石井は男子に嫌われます』と言われました」と古川さん。そして内田さんも、「開口一番、そう言われましたよね(笑)。前島についても、『女子に嫌われます』と言われました」と笑う。谷口さんが説明会を行うのは、自分が演じるキャラクター設定だけではなく、キャラクター同士の関係性も事前に理解して演じてほしいという思いから、作品ごとに説明会を行っているとのこと。
「もう一つ谷口さんから言われて印象的だったのは、『誰が主役とかは関係ありません。お芝居で周りを食ってしまっていいです』という言葉でした。僕も(主演として)奮い立ちましたし、それぞれのキャラクターがしっかり立つことが作品には大事。アフレコ前に火をつけてもらえてありがたかったです」と語った内田さんでした。

演出面でのこだわりもたっぷりと語られました。振付師の方に振り付けを作ってもらい、それをダンサーさんに踊ってもらった映像から画を起こしているのはもちろん、スケーターとしての動きも徹底的に研究。深夜に制作スタッフがスケートリンクに集められ、スケーターに滑ってもらうところを撮影、取材したりと、リアルな動きを表現するために最大限のエネルギーを使っているそう。谷口さん、福島さんから語られる制作裏話に、感心しきりの内田さんと古川さんでした。

最後に4人から、この作品を楽しみにしている方々へのメッセージが届けられ、1時間近くにも及んだトークショーは大盛況のうちに終わりました。

谷口悟朗総監督
「この作品はタイトルにもあるように、“スターズ”な作品です。いろいろなキャラクターが出てきますが、どのキャラを中心に見てもらっても問題ありません。お気に入りのキャラクターを見つけていただいて、楽しんでいただければ何よりです」

福島利規監督
「かなりハードルの高い作品を作っているなと思います。今日はスタッフ代表としてここに立たせていただいていますが、スタッフ一同、精一杯作っていますので、ぜひ放送を期待してほしいです」

古川慎さん
「アフレコはすでに全話録り終えているのですが、作品やキャラクターへの自分の想いや、台本から感じ取った熱を声に込めました。本当に楽しく、熱くやらせていただきました。これからじっくりゆっくりと全話見てほしいです」

内田雄馬さん
「高校生たちがスケートリーディングという競技に熱く向き合うことで、その輝きが見ているみなさんのエネルギーにもなるような作品だと思っています。見終わると前向きになれる作品です。どうぞ最後まで楽しんでください!」

<先行上映会 概要>
「スケートリーディング☆スターズ」先行上映会
日時:2020年12月12日(土)
会場:新宿バルト9(シアター9)
登壇者:谷口悟朗(総監督)、福島利規(監督)、内田雄馬(前島絢晴 役)、古川慎(流石井隼人 役)

キャストコメント

TVアニメ『スケートリーディング☆スターズ』の放送&配信を前に、メインキャスト3名のコメントを公開!

内田雄馬さん(前島絢晴 役)

――ご自身が演じられるキャラクターに決まった時のお気持ち、キャラクター又は作品に対する印象をお教えください。

この物語は男同士の戦い、熱いストーリーだと感じました。
正面に迫る困難や悩みにぶつかりながらも持ち前のエネルギーを燃やし尽くして進む。
不器用ながらもその一歩踏み出す姿が熱く、キャラクター達から大きなパワーをもらいながら収録していきました。
前島絢晴は自分の感覚や衝動を大切にしている人。誰にも予想できないことを凄まじい熱量で表現していきます。
ぜひ彼らの物語から前へ進むパワーを感じてほしいです。

――作品について楽しみにしていること、作品をご覧いただく皆様へメッセージをお願いいたします。

スケートリーディングという新しく生まれた競技をどのように描いていくのか、そしてそこで生まれる少年たちの熱い戦いに注目していただきたいと思います!
一癖も二癖もあるキャラクター達が登場しますので、ぜひ楽しみにしていてくださいませ!

古川慎さん(流石井隼人 役)

――ご自身が演じられるキャラクターに決まった時のお気持ち、キャラクター又は作品に対する印象をお教えください。

『スクライド』『コードギアス 反逆のルルーシュ』が好きなので、谷口悟朗監督の作品にメインキャストの一人として関わらせて頂けるという事がとても嬉しかったです。
流石井隼人というキャラクターは……最初、トリックスターチックな表情が印象的だなと感じたのですが、演じれば演じるほど人間味のある人物へと自分の中で変わっていきました。
大変楽しく収録をさせて頂きました。

――作品について楽しみにしていること、作品をご覧いただく皆様へメッセージをお願いいたします。

スケートリーディングという架空のスポーツを扱うアニメーションなので、完成した映像で競技シーンがどのようになっているのかというのは気になりますし、とても楽しみです。色々な演出があったので…。
それ以外にも此処では語りきれない位、楽しみなシーンが沢山あるのですが、まずは1話を皆様に見て頂きたいです。
スポーツマンシップに則ったぶつかり合い。
楽しんで頂ければ幸いです。

神谷浩史さん(篠崎怜鳳 役)

――ご自身が演じられるキャラクターに決まった時のお気持ち、キャラクター又は作品に対する印象をお教えください。

篠崎は孤高の天才、と言うイメージですが…その方向性だけで表現しようとすると僕では扱いきれないので、どこかに隙があるのでは?と思ってオーディションに臨みました。

――作品について楽しみにしていること、作品をご覧いただく皆様へメッセージをお願いいたします。

枢やな先生の洗練されたキャラクターたちが福島監督、そして谷口悟朗総監督のもと動き出します。
誰も見たことのない、エンタメに特化したスケートリーディングの世界を楽しんでいただけたら幸いです!
そして篠崎の隙をぜひ見つけてください!

メインスタッフ鼎談 [総監督・谷口悟朗×監督・福島利規×プロデューサー・松倉友二

無料情報誌「V-STORAGE“S” 2020 Spring」(バンダイナムコアーツ発行)他に掲載された貴重なスタッフ鼎談を再掲載!

――5人1組で競い合う「スケートリーディング」という、架空のフィギュアスケート種目に青春をかける男子高校生たちの物語『スケートリーディング☆スターズ』。どのような経緯で架空のフィギュア競技の企画が立ち上がったのでしょうか?

谷口
バンダイナムコアーツさんから「『ガラスの仮面』の北島マヤと姫川亜弓のようなライバル関係を男の子で、少年漫画のような作品を作りたい」という相談がありました。
松倉
それで「男子高校生のスポーツもので、部活ものをやりませんか」というお話が僕のところにも来ました。
谷口
フィギュアスケートというのはすでに決まっていましたが、はじめの頃はまだシングル競技を想定していましたね。ライバル同士からコーチと選手の関係になるストーリーを考えていたのですが、ちょうどその頃プルシェンコさんが羽生結弦選手のコーチになるかもという噂が出て、かぶっちゃうなぁと。

――現実がアニメを超えてしまうという。

松倉
羽生選手がアニメキャラっぽいというのも、大きな刺激を受けました。あんなにキャラが立っている人が現実にいるなら、こっちはもっとアニメっぽくしていいんじゃないのかということになり、漫画ではよくある“現実にはありえないスポーツ”を探っていく中で、集団としての団体競技という案にたどり着きました。

――ですが、架空のスポーツを描くというのは難しいのでは?

松倉
アニメではあまりやらないかもしれないですね。リアルにアクションが伴って動く以上、アニメーションだと難しい。これは大変なことになるなと思いました。ただ谷口さんにお願いしたいということで、それならぜひやりたいと思いました。私はこの業界に入った頃から谷口さんと知り合いでして。谷口さんは昔J.C.STAFFに居た方なんですが、そろそろ一緒にお仕事をしたいなと思っていたんです。さらに、若手を前に出していきたいという谷口さんの希望もあり、総監督・谷口さんと監督・福島さんという体制になりました。
福島
僕が若手というのは、違うとは思いますが(笑)。
松倉
福島さんなら『MAJOR』で高校部活モノもやっているし。福島さんはこの企画を聞いてどう思った?
福島
「マジか…」でした(笑)。まず、集団でフィギュアスケートを滑る様子をアニメにするというのが前代未聞ですから。
松倉
アニメーターにとって、やったことがない動きを描くって大変だからね。食べたことがない料理を作れないのと同じ。
福島
スポーツものというだけでも難易度が高いですからね。『MAJOR』は、僕も草野球をやっていたので感覚がわかるんですけど、スケートはまったくわからない。前に滑ることぐらいはできるけど、ジャンプどころか後ろに滑ることもできないですから。

――谷口さんは、男子高校生の団体スケート競技と聞いてどう受け止めましたか?

谷口
私は作品ごとに違うジャンルを手がけたいと思っているので、自分の中では違和感もないし、おかしな話ではなかったです。少年漫画テイストの部活モノということなら、架空の競技でも突破口はあるんじゃないかと思いましたしね。ただ、スケートシーンはモーションキャプチャで撮れるのではと思っていたら、スケートは撮れませんと言われてしまったのは、早くも想定外でしたけど。
松倉
スケートは移動幅が大きすぎてモーションキャプチャのカメラでは追いかけられないんです。5人で滑るとどうなるのかも、架空だからわからない。実際にスタッフたちとアイスショーを見に行って、意外と集団で滑れるものなんだなと思いました。その中で谷口さんから、「もっとダンス要素を強めたらどうか」という提案があり、振り付けとしてダンサーさんとスケーターさんに入っていただくことに。現実のフィギュアスケートでは着ない、というか、着られないような衣装をデザインしてもらったり、普段のアニメにはない要素を入れています。
谷口
数多のアニメ作品もトライアンドエラーの歴史の果てに今のアニメの歴史がある。この作品もトライアンドエラーの一つだと思います。やってみていいところがあれば、今後にもいかせる。そのシステム作りを今やっている感じです。そこに一番骨が折れるんですけどね。

――見ている方がワクワクするような作品になりそうですね。上手い人のダンスを見ているような。

福島
そんなところを狙っていますね。
谷口
部活なので、先輩後輩の関係性なども、ちょっとリアルめに拾っています。

――毎回、競技の見せ場がある?

福島
そうですね。主人公たちの学校、ライバル校たちはそれぞれ曲も振り付けも違うので、ショーを見ているような華やかさを大事にしたい。通常のフィギュアスケートは芸術面と技がポイントになりますが、ここではショーとしての要素をメインに見せたいと思っています。
谷口
架空の競技なのでルールなどはこちらで考えたものですし、スケートリンクがあちこちにたくさんあるという世界ですが、それ以外は現実世界と変わらない。あまりフィギュアスケートを見慣れない人にこそ見ていただきたいですね。何より久々に人が死なない作品をやらせてもらっているので、楽しくやっていますよ(笑)。スタッフキャストのチームワークもいいと思います。

――谷口さんファンも期待している作品です。

谷口
この作品は私のファンの方が期待するような、人が死んだり妬んだり嫉んだりする展開はありませんよ(笑)。純粋な部活ものとして楽しみにしてほしいですね。

プロフィール

谷口悟朗(たにぐち ごろう)
アニメーション監督、演出家。近作:『コードギアス 復活のルルーシュ』、『ID-0』、『revisions リヴィジョンズ』など。
福島利規(ふくしま りき)
アニメーション監督、演出家。近作:『MAJOR』、『となりの吸血鬼さん』、『城下町のダンデライオン』など。
松倉友二(まつくら ゆうじ)
J.C.STAFFプロデューサー。近作:『食戟のソーマ』、『とある科学の超電磁砲T』、『ハイスコアガール』など。

(初出:2020年3月)